地価が右肩上がりの時代には考えられなかったことですが、「生涯賃貸でOK!」という人たちが少しずつ増えています。転売益で次々と好条件の住宅に住み替えていく、そんなサクセスストーリーは非常に難しくなっていますね。
とはいえ、生涯賃貸派の多くは、「公営・公団の好環境&割安賃料」に居住している層です。マイホームを取得して住宅ローンを返済するよりも、そのまま居住する方がはるかに経済的な負担は少ないですし、資産価格の下落による「見えない損失」の心配もありません。何より、生活の利便性の高い中心部からわざわざ郊外に移りたくもないでしょう。
それ以外の生涯賃貸派はまだまだ少数ですが、最近の空き家問題も相まって「子孫に負の遺産を残さない」目的で「生涯賃貸」という考えが広がりつつあります。
仮に60年間で毎月平均6万円の家賃を払い続けたとすると、総負担額は4320万円です。一方で、2000万円のマイホームを30年返済、金利2.5%(元利均等返済、ボーナス返済なし)を2回組んだとして、60年後の建物の価値が300万円だとします。この場合の総返済額は約5700万円、残存価値の300万円と相殺しても負担額を比較すると5400万円 VS 4320万円、どちらがお得でしょうか?
さらに居住期間中の①維持管理費、②修繕費、③固定資産税・都市計画税も決して軽くはありません。従って、明らかに経済的負担は賃貸の方が少ないのですが、それでもマイホームを取得する意欲が根強いのは、土地神話の名残かもしれませんね。